大本彩華 自己紹介へ

38年経って、もっと好きになる家。

公開日:2026/10/29(木) 更新日:2026/10/29(木) 現場のこと

こんにちは。

高気密高断熱の家を自然素材でつくる津山市の工務店、息吹木の家専務の大本です。

今日も引き続き、浜松の設計塾で建物を見学。その中で訪れた、築38年の木の家がとても印象に残りました。

さて今日は、年月を重ねた木の家の魅力の話。

「新築のときより、今のほうがいいかもしれない。」

置かれていた昔の写真と、目の前にある今の住まいを見比べて、そんなことを感じて。

もちろん、建てられた当時の姿も素敵。でも、38年という時間を重ねた今の姿には、写真の中とはまた違う、成熟した良さがあったんですよね。

新しいものでは出せない落ち着き。木が年月を重ねたからこそ生まれる、深みのようなもの。

築38年の木の家。深みを増した木の床と暮らしの風景

「木は経年変化で味が出る」と、私も普段からお伝えしているけれど。実際にその時間を重ねてきた家を前にすると、その言葉の意味がぐっと深くなる。

ああ、こういうことなんだなと。

家づくりをしていると、完成したときの姿を一生懸命考える。素材を選んで、色を合わせて、空間を整えて。

お客様に喜んでいただきたいし、私自身も「いい家になった」と思えるものをつくりたい。

その一方で、今日の家を見ていると、完成した先の時間を、私はどこまで想像できているだろうかと思って。

10年後、20年後。そして、今日見せていただいた家のように、38年後。

そのときに、この木はどんな表情になっているだろう。住んでいる方は、この家のどこを好きだと感じているだろう。

図面を描いている今から、その先まで考えたい。

新築のときの美しさは、もちろん嬉しいもの。でも、住み続けるうちに「この感じ、好きだな」と思える場所が増えていくなら、それはとても豊かなことだと思う。

毎日見ている木の色が、少しずつ深くなる。最初は気になっていた小さな傷も、いつか暮らしの記憶と重なるかもしれない。

お子さんが遊んでいた場所。家族で何度も囲んだ食卓。何気なく腰を下ろす、いつもの場所。

そんな時間と一緒に家への愛着が育っていくことも、木の家を選ぶ楽しみの一つなんですよね。

もちろん、自然素材だから何でも味になる、というわけではなくて。長く使うには手入れも必要だし、直す時期が来るものもある。

だからこそ、手をかけながら住み続けたいと思えること。直した先の姿も楽しみにできること。

素材を選ぶときには、そういう気持ちまで大切にしたいと思って。

今日の家の魅力も、木という素材だけで語り切れるものではないはず。設計した方の考えや、つくり手の仕事。その後の長い時間が重なって、今の姿になっている。

昔の写真を見ながら、目の前の家が過ごしてきた38年を想像すると、家づくりに関わる責任も、改めて感じる。

私たちがお引き渡しする家も、お客様にとっては、そこから何十年と暮らしが続いていく場所。今、図面の上で選んでいるものが、ずっと先の毎日の風景になる。

そう考えると、一つひとつを簡単には決められないなと。

安心して暮らせる性能も、使いやすい間取りも、触れて心地よい素材も。その家を永く好きでいられるように、今できることを考えて、きちんと積み重ねていきたい。

38年経った家を見学して、これから自分がつくる家の未来を考えた。建築や住宅は、こんなふうに永く愛されていくものなんだと、実感できた時間でした。

いつか、お客様の家を久しぶりに訪ねたとき。「建てたときも好きだったけど、今の家もいいでしょう」と言っていただけたら。

たぶん、ものすごく嬉しいと思う。

そして私も、「今のほうが、もっといいですね」と一緒に喜びたい。

私たちも、年月を重ねるほどに「この家でよかった」と思っていただける家をつくっていきたい。

築38年の住まいを見て、その思いがいっそう強くなりました。

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