大本彩華 自己紹介へ

設計塾での学び

公開日:2026/07/21(火) 更新日:2026/07/21(火) 研修・勉強会

こんにちは。津山市の工務店、息吹木の家専務の大本です。

毎日暑いですね。

ここ最近は外の温度計が目を疑う気温。

我が家にいると外の暑さは感じないのですが。

外に出ると、ほんとうに危ない暑さ。

熱中症には気を付けないとですね。

 

さて、今日は、先週行ってきた「村篤設計塾」のお話。

豊橋へ2泊3日で、設計の勉強に行ってきました。

今回の課題は、実際にすでに建っている住宅を題材に、自分なりのプランを考えるというもの。

ご家族からの要望は、

・1階にLDKが欲しい
・家事動線を大切にしたい
・ご主人がリモートワークをするための書斎が欲しい
・洗濯物は室内で干したい

などなど。

実際に建てられた家だけあって、ご家族の暮らし方や細かな希望が、かなり具体的に設定されていました。

しかも、敷地面積は38坪。

私たちが普段家づくりをしている地域では、なかなか出会わないほど限られた広さです。

周囲は住宅に囲まれていて、太陽の光も、外への視線も抜けにくい。

明るい家にしたい。

でも、大きな窓をつければ、お隣からの目線が気になる。

必要な部屋は確保したい。

でも、建てられる面積には限りがある。

どこに窓を設け、どこから光を取り入れ、どこに家族の居場所をつくるのか。

なかなかの難題です。

設計塾へ行く前に、それぞれが考えたプランを提出し、建築家の村松先生に添削していただくというコース。

実際に自分で設計してみることで、改めて設計の難しさに気づかされます。

設計とは、まず、

・法律を守ること
・構造がきちんと成り立つこと

が大前提。

そのうえで、

・どれだけクライアントの要望に寄り添えているか
・その敷地に合った計画になっているか
・外観が地域の景色に馴染んでいるか
・窓の位置や数は適切か

など、考えることはたくさんあります。

設計というと、どうしても「間取りをつくること」と思われがちです。

リビングは何畳。

収納は何箇所。

キッチンから洗面所までの距離はどれくらい。

もちろん、それもとても大切です。

 

でも、この塾を通して教えてもらっているのは、設計は単なる間取りづくりではないということ。

 

今回も、普段なら選ばない形や、いつもとは違う考え方に挑むことで、凝り固まった頭を一度リセットすることができました。

自分がいつも使っている考え方や、無意識に決めている配置。

それが必ずしも、この土地、このご家族にとっての正解とは限らない。

 

それに気づかせてもらえるのも、この設計塾の面白さです。

そして、この塾で特に大切にされているのが、「空間の豊かさ」という考え方。

みなさんが間取りを見るときは、

家事がしやすそう。

収納が多い。

部屋が広い。

そういったところに、まず目がいくのでは?

 

私自身も、間取りを見ると、つい動線や収納量を確認してしまいます。

ただ、設計というのは、それだけではなくて。

 

気持ちがいいと思える場所に、きちんと居場所があるか。

景色が見える場所に、窓が設けられているか。

天井の高さは、その場所に合っているか。

明るすぎたり、暗すぎたりしないか。

座ったときに、どこへ視線が抜けるのか。

家の中を歩いたとき、どんな景色が順番に見えてくるのか。

照明はただ部屋を明るくするためだけではなく、夜の居心地をつくれているか。

 

そういったことを一つずつ考えていく必要があります。

 

プロとして、間取りはパズルではない。

 

要望された部屋を敷地の中に、ただ上手に詰め込めばいいわけではありません。

リビング、キッチン、洗面所、書斎、収納。

必要なものを並べて、全部が収まったから完成。

ではないのです。

この塾に参加して思うのは、家をまだ「間取り」だけで捉えているうちは、設計者として三流なのだということ。

少し厳しい言葉ですが、毎回その意味を実感します。

 

平面図だけを見ていると、部屋の広さや動線は分かります。

でも、実際に人が感じる空間は平面ではありません。

 

天井の高さ。

床の高さ。

窓から入る光。

壁に落ちる影。

視線の先にある庭や空。

 

それらが重なって、初めて居心地のいい空間が生まれる。

つまり、心地のいい空間は、平面だけではなく断面でも考える。

今回も運よく、村松先生が設計された建物を実際に見学させていただきました。

もう、感動のひと言。

 

ただ見た目がきれいというだけではありません。

窓の場所にも、天井の高さにも、壁の位置にも、すべて意味がある。

少し腰を掛けたくなる場所。

自然と外を眺めたくなる場所。

一人で落ち着ける場所。

家族の気配を感じながら、それぞれが違うことをして過ごせる場所。

大きな家ではないのに、居場所がたくさんある。

それが、とても豊かに感じられました。

図面を見て説明を聞くだけでは分からないことも、実際にその場所に立つと分かります。

ここに窓がある意味。

天井を低くしている理由。

この壁が少しだけ伸びている意味。

設計されたものを体感することで、ようやく理解できることがたくさんありました。

設計には、正解が一つだけあるわけではありません。

同じ土地、同じ要望でも、設計する人によって答えは変わります。

だから難しい。

そして、だから面白い。

 

普段の仕事を離れ、2泊3日、朝から晩まで設計について考える。

頭はかなり疲れましたが、凝り固まっていたものがほぐれ、新しい視点をたくさん持ち帰ることができました。

 

学んだことを、ただ「いい勉強になった」で終わらせず、これからの家づくりにどう生かしていくか。

 

お客様が言葉にされた要望だけでなく、その先にある暮らしまで想像する。

 

間取りだけではなく、光や高さ、景色、居場所まで考える。

一棟一棟、もっと丁寧に。

体感することで、本当に学びの多い3日間となりました。